トップ / 第1章
CHAPTER 01 BASICS
Next.jsとは何か
Webサイトが表示されるまでの流れと、React・Next.jsがそれぞれ何を担当しているのかを押さえます。
この章でわかること
- Webサイトが画面に表示されるまでの流れ
- ReactとNext.jsの違いと関係
- Next.jsが多くの現場で選ばれている理由
1. Webサイトが表示されるまで
Next.jsの話に入る前に、Webサイトがどうやって画面に表示されるのかを確認しておきます。ここが分かると、この先の章がぐっと読みやすくなります。
登場人物は2つです。あなたが操作しているブラウザ(Chrome、Safari、Edgeなど)と、サイトのデータを持っている遠くのコンピューター、サーバーです。
サーバーから返ってくるファイルは、主に次の3種類です。
| 種類 | 役割 | たとえ |
|---|---|---|
| HTML | 文章や見出し、画像の位置など「中身と骨組み」 | 書類の本文 |
| CSS | 色、文字の大きさ、配置など「見た目」 | 書式設定・レイアウト |
| JavaScript | ボタンを押したときの反応など「動き」 | Excelのマクロ |
たとえるなら
ブラウザはレストランの客席、サーバーは厨房です。客(あなた)が注文(URL)すると、厨房が料理(HTMLなど)を作って運んできます。この「厨房と客席」のたとえは、第4章で大活躍します。
2. React:画面を「部品」で作る道具
昔のWebサイトは、ページごとにHTMLを1枚ずつ手作りしていました。しかし、ネットショップや業務システムのように画面が多く、動きも複雑になると、手作りでは管理しきれません。
そこで生まれたのがReact(リアクト)です。Meta社(旧Facebook)が開発した、画面を部品の組み合わせで作るための道具(ライブラリ)で、いまWeb開発で最も広く使われています。
「ヘッダー」「商品カード」「購入ボタン」のような部品を一度作れば、あとはいくつものページで使い回せます。部品の考え方は第3章で詳しく扱います。
ただし、Reactが担当するのは画面の部品づくりだけです。実際のサイトに必要な次のようなことは、Reactだけでは用意されていません。
- URLごとにどのページを表示するか(ページの道案内)
- サーバー側でデータベースからデータを取り出す処理
- 表示を速くするための工夫や、検索エンジン対策
- 公開用にファイルをまとめる作業
3. Next.js:Reactに「家一軒分の設備」を足したもの
Next.js(ネクスト・ジェイエス)は、Reactを土台にして、上で挙げた足りない部分を最初からひとまとめにしたフレームワークです。開発しているのは、アメリカのVercel(バーセル)社です。オープンソース(設計図が公開されていて誰でも無料で使えるソフト)として提供されています。
たとえるなら
Reactは、壁・窓・ドアといった建材や部品です。良い部品ですが、それだけでは家は建ちません。Next.jsは、間取りのルール、配管、電気、玄関までそろった住宅の標準仕様一式です。決まった場所に部品をはめていけば、住める家(動くサイト)になります。
ライブラリとフレームワークの違い
この2つの言葉はよく出てくるので、違いを押さえておきましょう。
- ライブラリ(例:React)
- 必要なときに呼び出して使う「道具箱」。全体の進め方は作る人が決めます。
- フレームワーク(例:Next.js)
- 全体の「型」や「決まりごと」があらかじめ用意されていて、その型に沿って中身を埋めていきます。自由度は少し下がりますが、迷わずに済みます。
Next.jsが用意しているもの
| 機能 | ひとことで言うと | 扱う章 |
|---|---|---|
| ルーティング | フォルダを作るとページになる道案内の仕組み | 第2章 |
| レンダリング | 画面をサーバーで作るか、ブラウザで作るかの使い分け | 第4章 |
| データの読み書き | データベースや外部サービスとのやり取り | 第5章 |
| 最適化 | 画像や文字の表示を自動で速くする工夫、検索対策 | 第6章 |
| ビルド | 公開用にファイルを変換・まとめる作業 | 第7章 |
4. なぜNext.jsがこれほど選ばれているのか
Next.jsは、個人のブログから大企業のサービスまで幅広く使われています。理由は主に4つです。
- 表側も裏側も1つで作れる:画面(表側)と、データ処理などのサーバー側(裏側)を、同じ仕組みの中で作れます。小さなチームでも一通りのサービスが作れます。
- 速くて検索に強い:サーバー側でページを作ってから送るため、表示が速く、Googleなどの検索エンジンにも内容が伝わりやすくなります。
- 情報が多い:利用者が多いため、困ったときの解説記事や事例が豊富です。AIも学習している情報が多く、AIにコードを書かせたときの精度が高いのも、今では大きな利点です。
- 公開が簡単:開発元のVercel社のサービスを使えば、数クリックでインターネットに公開できます(第7章)。
注意:向いていない場面もある
文章中心の小さなサイトなら、WordPressやノーコードツールのほうが手軽なこともあります。Next.jsは「動きのある画面」「データを扱う機能」「今後の拡張」が必要なときに力を発揮します。
5. バージョンと「2つの作り方」
Next.jsは毎年のように大きく更新されています。2026年秋の時点ではバージョン16系が最新です。更新は速いので、AIや解説記事を見るときは「いつの情報か」を気にする習慣をつけましょう。
特に知っておきたいのが、ページの作り方に2つの方式があることです。
| 方式 | フォルダ名 | 位置づけ |
|---|---|---|
| App Router(アップ・ルーター) | app/ | 2023年から標準になった現在の方式。新機能はこちらに追加される。本教材はこちらが前提。 |
| Pages Router(ページズ・ルーター) | pages/ | 以前からある旧来の方式。今も動くが、新しく作るなら選ばない。 |
インターネット上には古いPages Routerの解説も多く残っており、AIがその書き方を混ぜてくることもあります。見分け方は第8章で紹介します。
この章のまとめ
- ブラウザ(客席)がサーバー(厨房)にページを頼み、HTML・CSS・JavaScriptを受け取って表示する。
- Reactは「画面を部品で作る道具」。Next.jsはReactを土台に、ページ分け・サーバー処理・高速化などをそろえたフレームワーク。
- 現在の標準はApp Router(
app/フォルダ)。2026年秋時点の最新はバージョン16系。
確認問題
選択肢を1つ選んで「答え合わせをする」を押すと、正誤と解説が表示されます。何度でも選び直せます。
この章の確認問題はすべて回答済みです。間違えた問題は、解説を読んでから本文の該当箇所を見直しておきましょう。