トップ / 第8章
CHAPTER 08 WITH AI
AIと一緒に作るとき
ここまでの知識を、AIへの依頼や開発会社とのやり取りにどう生かすかをまとめます。
この章でわかること
- AIに伝わる依頼文の書き方
- AIが出したコードを確認する観点
- 開発会社に確認すべき質問
1. 非エンジニアがNext.jsの知識を使う場面
いまは、Claude Code などのAIに依頼すれば、非エンジニアでもNext.jsのサイトを作れる時代です。また、開発会社に依頼する場合でも、提案書や見積もりにはこれまでの章で学んだ用語が並びます。
コードを自分で書けなくても、「何を頼めばよいか」「出てきたものが正しそうか」を判断できること。これが、本教材で目指してきたゴールです。最後の章では、その具体的な使い方をまとめます。
2. AIに伝わる依頼文の書き方
AIへの依頼は、「いい感じのサイトを作って」のような曖昧なものほど、意図とずれた結果になりがちです。次の4点を具体的に伝えましょう。
- 技術的な前提:Next.js 16、App Router、TypeScript、Tailwind CSS など(第1〜3章の言葉がそのまま使えます)
- 誰が・何のために使うか:「社内の経理担当5名が、月次の経費を入力する」など
- ページの構成:URLの一覧(第2章のフォルダ構成で考えると整理しやすい)
- データと安全面の条件:どこに保存するか、ログインが必要か、秘密の情報をどう扱うか(第5章)
依頼文の例
Next.js 16(App Router)、TypeScript、Tailwind CSS で、
社内向けの「備品貸出管理サイト」を作ってください。
■ 利用者:総務部と社員(約50名)。社員は貸出を申請し、総務が承認する。
■ ページ構成
/ 貸出できる備品の一覧
/items/[id] 備品の詳細と貸出申請フォーム
/admin 総務用の承認画面(ログイン必須)
■ 条件
・データは Supabase に保存。接続情報は環境変数で管理し、
NEXT_PUBLIC_ を付けないこと
・フォームの保存は Server Actions で行い、サーバー側で入力チェックと
権限チェックをすること
・"use client" は動きが必要な部品だけに付けること
・Pages Router(pages フォルダ)の書き方は使わないこと
各章で学んだ言葉が、そのまま依頼の条件になっていることが分かります。
コツ
一度にすべてを作らせず、「まずページの骨組みだけ」「次に一覧ページ」のように小さく区切って依頼し、都度確認すると、大きな手戻りを防げます。
3. AIが出したコードを確認する観点
コードの中身を細かく読めなくても、次の点は非エンジニアでも確認できます。
| 確認すること | 見る場所・方法 | 関係する章 |
|---|---|---|
| 依頼したページがそろっているか | app フォルダの中のフォルダと page.tsx | 第2章 |
| 古い書き方が混ざっていないか | pages フォルダ、getServerSideProps、getStaticProps という言葉がないか | 第1・8章 |
| 秘密の情報が漏れていないか | コードにAPIキーが直接書かれていないか。NEXT_PUBLIC_ の付いた秘密がないか | 第5章 |
"use client" が多すぎないか | ほとんどのファイルの先頭に付いていたら、理由を聞く | 第4章 |
| 本番用に仕上がるか | npm run build がエラーなく終わるか | 第7章 |
| 見た目と速さ | スマホ幅で崩れないか。PageSpeed Insights の評価 | 第6章 |
AIは古い情報を出すことがある
AIは過去の大量の情報から学んでいるため、Pages Router時代の書き方や、古いバージョンの設定方法を提案することがあります。依頼文の最初にバージョンとApp Routerであることを明記し、怪しい記述を見つけたら「これはApp Routerの最新の書き方ですか?」と確認しましょう。名前が変わったもの(例:middleware.ts → proxy.ts)にも注意が必要です。
分からない用語が出てきたら
AIの回答に知らない用語が出てきたら、遠慮なく「非エンジニア向けに、たとえを使って説明して」と聞き返しましょう。本サイトの用語集も活用してください。
4. 開発会社に依頼するときに確認すること
開発会社にNext.jsでの制作を依頼する場合は、作る中身だけでなく、公開後のことを最初に確認しておくことが重要です。後から揉めやすいポイントを挙げます。
- 公開先と月額費用:Vercelか、AWSなど別のサービスか。アクセスが増えたときの費用の目安は。
- アカウントの所有者:ドメイン、GitHub、Vercel、データベースのアカウントは誰の名義か。自社名義にしておくと、開発会社を変えるときに困りません。
- アップデートの方針:セキュリティ更新(第7章)を誰が、どのくらいの頻度で行うか。保守契約に含まれるか。
- ページの作り方の方針:どのページを作り置き(SSG)にし、どのページを毎回作る(SSR)にするか。更新はどのくらいの時間で反映されるか(第4章)。
- 更新の手順:お知らせなどを自社で更新できるか(CMSを使うか)。変更を本番前に確認するプレビューの流れはあるか。
5. 次の一歩
全体像をつかんだら、実際に手を動かしてみると理解が一段と深まります。
- 小さなサイトを1つ作ってみる:AIに「自己紹介ページを3ページ、Next.js 16のApp Routerで」と依頼し、
localhost:3000で表示するところまで進めてみましょう。 - Vercelに公開してみる:無料のHobbyプランで、GitHub連携から公開までを体験すると、第7章の流れが実感できます。
- 公式の学習コースを眺める:Next.jsの公式サイト(nextjs.org)には、英語ですが「Learn」という無料の学習コースがあります。ブラウザの翻訳機能を使えば十分に読めます。
最後に、まとめテスト(全24問)で、全体の理解度を確かめておきましょう。
この章のまとめ
- AIには「技術的な前提・利用者と目的・ページ構成・データと安全面の条件」を具体的に伝え、小さく区切って依頼する。
- AIのコードは、ページの有無、古い書き方、秘密情報の扱い、
"use client"の量、ビルドの成否で確認する。 - 開発会社には、公開先と費用、アカウントの所有者、アップデートの方針を最初に確認する。
確認問題
選択肢を1つ選んで「答え合わせをする」を押すと、正誤と解説が表示されます。何度でも選び直せます。
この章の確認問題はすべて回答済みです。間違えた問題は、解説を読んでから本文の該当箇所を見直しておきましょう。